- Aさんは週に一日か二日、やる気があるときに目いっぱい楽器を弾く
- Bさんは毎日一時間半、かならず練習する
時間が経つほど、実力の差が開いていく。
(もちろん毎日こつこつ取り組む人のほうが、うまくなる)
もし真剣にプロを目ざしているなら、『時間の管理』について一度じっくり考えてみよう。
『着実に、早く、しっかりとした技術を身につける』ために『ミュージシャンとしての自分の時間割り』を考えてみてほしい。
目次
日々の作業や練習を習慣化するメリット
こつこつ積みかさねるから、着実に成長する
1~2週間ぐらいの短期間で見れば、『気が向いたときにノリノリで五時間ギターを弾きつづける』人のほうが、演奏が上手になるかもしれない。
ずっとそのペースを継続できれば言うことはない。しかし、なかなかそうはいかないものだ。
- 仕事で疲れている
- 体調が悪い
- つきあいで酒を飲みに行く
- どうしても気になるゲーム(やアニメ、映画など)がある
だれにもこういうときがある。スケジュールを組んでいないと、ぼんやりとした自分の欲求に流されてしまうかもしれない。
やるべきことが明確になっていないと、ぼんやりしたまま時間が過ぎることもある。
反復練習で、しっかりと慣れていこう
【Cくんは、こういう風に練習をした】
- 休日、昼からギター(もしくはキーボードやドラム)を弾きはじめた
- むずかしいリフからはじまる曲を、どうしても弾けるようになりたい
- 4時間ぐらい練習して、夕方ごろにはまあまあ弾けるようになった
- それから5日間、いそがしくてまったくギターを弾かなかった
Cくんがもったいないことをしているのは、きみにもわかるはずだ。
『うまい』というのは『ものすごく慣れている』ってことだ。そして慣れるためには、どうしても反復練習が必要になる。何日か練習すると、体にしみこむ。そのあと一週間ぐらいあけてまた練習すると、さらに深いところに記憶される。
さらにつづけると、ほとんどエネルギーを使わずに、リラックスした状態でそれができるようになる。精度が上がる。「この程度のことはできて当然」と思えるようになる。
できなかったことができるようになるから、とても気分がいい。自分のことを褒めたくもなる。もっと難しいことに挑戦したくなる。
これは楽器の演奏だけじゃなくて、
- 作詞
- 作曲
- アレンジ
- ボーカルレコーディングのディレクション
- そのほか勉強やスポーツ、料理、ゲームなど
にも言えることだ。
理想型のイメージ
- 初心者のDくんは、仕事のあとに毎日1時間、ある曲を少しずつ練習した
- 7日目にようやく、通して弾けるようになった
- そのあとも、毎日1時間は練習をした
- 14日目に、完璧に弾けるようになった
Dくんのほうが、Cくんよりも成果が大きい(技術がしっかりと根付く)。
次に、ちがう曲の練習をするときは、この二週間の土台のうえに積みかさねる形になる。
一日一時間の練習なら、それほど無理をしなくてもつづけられたはずだ。時間に余裕があるときは、『演奏の練習以外の、大切な作業』をする。
(たとえば名曲の研究とか、オリジナル曲のアイデア出しとか、機材のリサーチやおもしろい使い方の実験など)
このほうが実りが多い。
時間割りを作るときのポイント
ゆとりのあるスケジュールにしよう
途中で休憩をたっぷりと取ろう。『少しだけがんばれば、毎日つづけられる』ように設定するのがポイントだ。
やりたいことがたくさんあるときは、優先順位を決めよう
1日にできることは、思ったよりも少ない。あれもこれもと欲張ると、どちらも中途半端になりかねない。
それに、無理してぎちぎちにスケジュールを組むとだんだんつらくなってくる。
きちんと優先順位を決めよう。優先順位(やるべきこと、早めに身につけたいこと)は『きみの目標』によって変わる。
優先順位は、『きみ自身の目標、得意不得意』から考える
- 作品作りがメインのクリエイター
- ライブメインのバンドマン
- シンガーソングライター
- 楽器の演奏に特化したプレイヤー
- それ以外の表現者
きみが目ざしているのはどのタイプだろう。
クリエイターを目ざす場合、運指などの基礎練習に毎日数時間も使うのはもったいない。きみがプレイヤー志望なら、基礎練習にもたっぷりと時間をかけるべきだ。
また、現在のきみのレベルによっても、自ずとやるべきことは変ってくる。
最初は『なにがもっとも必要か?』わからずに、不安になったリ、困ったりするかもしれない。
ぼくのプライベートレッスンに参加してくれれば、きみの『現在の状況』『将来の目標』をくわしく聞いたうえで、スケジュールや優先順位を提案することができる。
★問い合わせページから連絡をくれれば、詳細を説明する
大事なのは、あくまでも「自分にとっては」と考えることだ。教則本は役に立つけど、そこに書いてある通りに練習するのが正解とは限らない。
- 自分の目標(あこがれている人なども含めて)
- 自分の得意、不得意
から考えていくといい。
『はじめるまでは気が重いけど、やったほうがいいこと』がある
ぼくの場合は、
- オリジナル曲の編曲
- なおしの作業
などは、少々気が重かった。(ときどき作曲をするのも面倒だな、と感じることがあった)
体調がいまいちだと、不得意なことや、精神力と体力をたくさん使う作業を重荷に感じる。
そういう作業を、それでも必要だと感じて日課に組みこんでいることがあるだろう。
『次はアレをやる。でも、正直気が重いな……』というときは、簡単な作業を前に入れて、リズムを作るといい。
たとえば、
部屋の掃除 10分
ストレッチ 10分
運指 10分
休憩 10分
編曲作業 30分
休憩 10分
編曲作業 30分
こんな感じだ。前ふりの作業は、終了時間を厳守する。アラームをセットして、時間になったら必ず席を立つようにしよう。
『朝、決めた時間に起きる』ために
実はこれが、とても大切だと思う。
なんとなくだけど、クリエイティブな作業をしている人は寝坊をしがちな印象がある。「だらしない性格」なわけじゃなくて、日々の中で、休憩時間が不足しているんだと思う。
いいものを作ろうとすると、作曲や作詞は膨大なエネルギーを使う。
ライブも同様だろう。
それに気づかずにタイトなスケジュールを組んでいると、疲れがたまる。どこかでまとめて休まなければいけなくなる。
他にも、夜中に気分が乗って遅くまで作業をしたり、つきあいがあって寝る時間が遅くなる、ということもあるだろう(ぼくも経験がある)。
特に十代、二十代のときは、こういうことが理由で、起床時間が遅くなる。でも、寝坊をすると、一日のスケジュールが狂ってしまう。
まじめな性格の人ほど、寝坊はダメージが大きい。
- リズムがうまくつかめなかったり、
- あせったり、
- なにかの作業にしわよせがいったりする。
そういう『やっちまった!』という状況を避けるために、夜、ベッドに入る時間を決めよう。
いい創作をするために、睡眠はたっぷり取るべきだ
人によって、ベストな睡眠時間はちがう。
ぼくは七~八時間眠った次の日が、一番快調だ。アイデアも生まれやすい。
- 朝、起きる時間
- 睡眠時間
が決まれば、
『ベッドに入るべき時間』が決まる。そこから逆算していこう。
風呂や歯みがきなどにかかる時間をスケジュールに組みこむと、『音楽関連の作業をやめる時間』がはっきりする。
これは性格にもよるかも知れないけど、ぼくは『どれだけいい感じだったとしても、決めた時間にすぱっと作業をやめる』ことをお勧めする。
『もっとやりたいな』『今日はいい感じだったな』という気分で作業を終えると、次の日いい感じでつづきの作業に取りかかれるよ。
作業の終了時間を決めると、エンジンがかかりやすい
- 仕事がある日は、一時間半だけ。(途中の休憩もこみで)
- 休日は四時間だけ(時間があまったら、気楽にできる作業をする)
- 22時にはかならず作業をやめて、寝るしたくをはじめる
こうやって、時間を短めに区切る。
すると、その時間内になんとかいいものを出そうとして、早いタイミングで脳が回転しはじめる。
終わりが見えているから、
『今日は気が乗らないけど、とりあえずやるか』と思える。
逆に時間がたっぷりあると、だらだらしてしまうことがある。そういう経験はないだろうか?
なぜか部屋の掃除をはじめてしまったり、スマホでどうでもいいサイトを見たり、作業をはじめたのに細かいことが気になったりする。ひとことで言えば、エンジンがかかりにくい。
余裕がありすぎるからだ。1日のスケジュールの目測を誤りやすい。だから時間を区切る。それも、『えっ?』と思うぐらい、短めがいい。
ぼくはいま、ひとつの作業を30分で区切っている。ストップウォッチがいつも机に置いてあり、作業をはじめる直前にスイッチを押す。
30分経ったらストップウォッチのアラームが鳴る。鳴ったら、どれだけいい感じでも、かならず席を立つ。休憩を取り、きちんとリフレッシュして、次の作業に取りかかる。そのほうが、いいものが生まれやすい。ミスも減る。
どれだけ気分が乗らなくても、ほかにやることがあっても、かならず4セットは作業をする。(音楽以外の仕事も含めてだけどね)
まとめ
- 時間を有意義に使うために、スケジュールを組もう
- スケジュールは、少しがんばれができるぐらいの内容にしよう
- あいまに休けいをたっぷり入れよう
- 寝る時間、起きる時間をはっきりと決めよう
- 寝坊しないために、睡眠、休憩をきちんと取ろう
- 作業や練習を習慣化すると、毎日コツコツ練習できる
- 反復練習が、上達の近道だ
- 『うまくなる』のは気分がいい。自信がつく。もっと難しいことにトライしたくなる