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ざっくり一言で言うと
「未熟なときから、うまい人たちのグループに混ざる」ってことだ。
これはとても効果がある。
実行すれば、演奏や作曲作詞の成長スピードが三倍以上になる。人によっては、ひとりで練習をするケースと比べて十倍以上になるだろう。プロになりたい人にとってはとても魅力的だ。
- 音楽で暮らしていけるようになるまでの期間がぐっと短くなる。
- いろんな人と触れあえば、そのぶん豊かな下地を養うことができる。
- プロとして活動しつづけられる可能性が高まる。
行動すること自体は、それほどむずかしくない。
(おいおい話すけど、すこしの勇気とちょっとしたバイト代があれば誰にでも可能だ)
ただし継続するとなると、なかなか大変かもしれない。お金がかかるとか、運が必要とか、そういうことではない。『気持を維持していられるか』が問題になる。
では、具体的な話をしていくよ。
きみの音楽仲間の力量は?
きみには音楽仲間がいるだろうか? いるとしたら、その人の力量はどれぐらいのレベルだろう?
自分とおなじぐらいの技術を持った何人かで集まって、演奏したり作曲したりしていないだろうか?
ぼくもそういうときがあった。たいていのアマチュアミュージシャンは、同レベルで集まりがちだ。バンドを組んだり、チームを作ったり、意見交換の会合を定期的にひらいたりする。
それがお互いにとってストレスが少ないからだ。大多数の人が、無意識のうちに居心地のいい場所を作ろうとする。
バンドのメンバーのなかに、ひとりだけ飛びぬけた技術を持っている人がいたとしよう。その人は自分の実力が発揮しにくいし、他メンバーに求めるレベルも高い。そのうち退屈して、ほかの集団に活動拠点を移すだろう。
これだと、残った者たちは普通の速度でしか成長できない。
理想的な技術の差
理想的な技術の差のイメージは、たとえばこんな感じだ。
きみは、小学六年生。楽器の演奏と作曲をはじめたばかり。
まわりはみんな大人だ。すでに十年以上楽器を演奏している。作詞や作曲が得意な人もいる。プロも何人か混じっている。
きみはみんなにかわいがられていて、いろいろ教えてもらえる。
圧倒的な実力差があるから、変なプライドを持ちだしたり、虚勢をはったりする必要もない。とても楽だし、日に日に自分が成長していく手ごたえを感じている。
どうだろう? きっときみも、『そういう恵まれた環境なら、うまくなって当然だよな』と思うんじゃないか。
十二歳にもどることはできないけど、いまからでも取りいれられることもある。
- 虚勢を張るのをやめる
- プライドをいったん捨てる
- 素直に相手にアドバイスを求めて、実行する
- からかわれたりしても、明るく前向きにがんばる
こんなところだろう。子供と大人の関係なら当たり前にできるのに、年齢が近くなるとどうしても張り合ったり、比較したりしてしまう。それをやめる。
極端な話、相手が自分よりも十歳年下でも、実力が上なら謙虚につき合う。そしてアドバイスを求める。
どうしてもそういう仲間を見つけられないなら
家族や友人、知人に、レベルがずっとうえのミュージシャンがいれば、話は早い。
もしきみのまわりにそういう人が見あたらないなら、音楽スクールに通う、という手もある。
スクール主催のライブに出演して、知りあいを増やす。数ヶ月程度たって、お互いに人柄や実力が把握できたら、うまい人たちのグループに参加させてもらえるよう、ていねいにたのむ。
最初は『見学』という立場でもいい。毎回顔を出して、ちょっとした雑用などをする。そのうち仲間のひとりとして認知してもらえると思う。
(注)中には講師のレベルが低いスクール、レッスン内容がおそまつなスクールもある。その点は注意するように。何校か体験レッスンに行ってみて、年間を通してどんな活動をしているかチェックしよう。
ちなみに、もし音楽スクールに通うようになったら、担当講師には、『実力はまだまだですけど、プロ志望です。どんどん成長したいのでストレートなアドバイスをお願いします』とたのもう。『どれだけ厳しくされても、一年間は絶対にやめません』というぐらいの約束はしたい。(約束したら守るように)
音楽スクールの選び方、入校前にチェックするポイント、などについては、後日別の記事にまとめるつもりだよ。
冷笑、嘲笑、からかわれる。そういうことに耐えられるか。
音楽スクールに通うなら、きみはある意味「お客さん」の立場だ。「厳しく」とお願いしても限度はある。たいていの講師はていねいな接し方をしてくれる。
そうではなく「音楽が好きなもの同士」「プロを目ざしているミュージシャン同士」という関係だと、かなり厳しいことを言われることもある。
たとえば五人組のバンドの練習に、ためしに参加させてもらったとしよう。
「ちょっとなにか弾いてよ」と言われて、懸命に演奏をする。
「自信のあるオリジナル曲を聞かせてよ」と言われて、それを聴かせる。
相手によっては、きみの演奏や曲を酷評するかもしれない。そこまでいかなくても、鼻で笑うような、嘲笑的な態度を取ったり、あからさまに「こいつ、全然ダメだな」みたいな雰囲気になるかもしれない。だれもが人格者で、やさしいとは限らない。
ストレスは当然ある
『ヘタなときからうまい人たちのグループに混ざる』というのはそういうことだ。
ストレスは当然ある。あまりにもひどいことを言われるようなら、その人やグループとは距離を取ったほうがいい。だけど、小馬鹿にされる程度だったら、ぼくなら我慢する。
先にこちらから、『みなさんと比べると、自分はまだまだです』と言ってしまおう。
『みなさんみたいに上手くなりたいので、いろいろご指導ください』とお願いしよう。
相手がアドバイスをしてくれたら、素直に聞く。忘れないようにメモを取る。そしてきちんと実行する。
たいていの人は、そういう人間に対して好感を持つ。
いまは下手くそだけど、
- 努力はしている。
- 成長のスピードはまあまあだな。
- 厳しいことを言っても、ふてくされないでちゃんと受け入れるやつだ。
こう思ってもらえたら、最高だ。
注意点。初心者~中級者にありがちな勘ちがい
ずっとレベルが上の相手に演奏を見てもらう。オリジナル作品を聴いてもらう。
そういうとき背伸びをしてしまいがちだ。
『現在の自分』をできるだけ高く評価してもらいたい、と考えてしまうからだ。
だけど、実力がかけ離れている相手の場合、背伸びにはほとんど意味がない。向こうにとってはたいした違いにはならないからだ。むしろ背伸びは有害だ。空回りして大失敗したり、評価を気にしすぎたり、変なことを口走ったりする危険がある。
実力も経験もある人が、ずっと格下の相手を評価するポイントは、相手の現在の技術や言葉ではない。
ひとつは『音楽に取り組む姿勢』だ。
- 楽しんでいるか。
- 真剣に練習しているか。
- アドバイスをきちんと実行するか。
もうひとつは、『成長のスピード』だ。
- 一週間たって、どうなったか。
- 三ヶ月たって、どれぐらい進歩したか。
こういうところに注意が向いている。だから現在のきみの実力がまだまだだったとしても、きみが成長する過程を見て、将来性を感じれば、きっと良くしてくれる。
人の意見はころころ変わる。
これも、はじめの一歩を踏みだすきっかけになる考えかただから、おぼえておくといい。
もしこれから三ヶ月のあいだ、だれかに馬鹿にされたり、ひどい評価をされたら「人の意見はころころ変わる」と考えよう。
言っているほうは、こちらが思うほど深く考えて発言していないことが、よくある。口にしたこと自体、コロっと忘れることだって多々ある。
三ヶ月後、一年後、三年後、その評価がどう変わるか、楽しみにするぐらいでいい。