【初ライブ】はじめて人まえで弾くときのコツ

人まえで弾くのは、誰にとってもプレッシャー

聴いてくれる人がいるのはありがたい、
うれしいことだけど、最初のうちはどうしてもプレッシャーを感じる。緊張しすぎて、失敗することもある。

(ある程度ライブに慣れても、ほとんどのミュージシャンは緊張する)

自分の部屋でひとりで練習するのと、数十人の観客の前で演奏するのでは、大ちがいだ。

初ライブのときは、心臓がばくばくする。ライブ以外でも、経験豊富なプロミュージシャンやレコード会社の人の前で演奏を披露するときは、やっぱりとても緊張する。

こういう場面で有効な行動や考えかたを、いくつか紹介する。

60%~70%の実力が発揮できれば成功だ

初心者のなかには、ここを勘違いしている人が多い。

  • 自分の実力を、出しきりたい
  • できれば実力以上、120%ぐらいのパフォーマンスがしたい
  • ひとつもミスをしないようにしなければ

はっきりと意識しなくても、ぼんやりこう考えている。
そして本番で背伸びをして、空回りする。
自分から失敗の種を引きよせてしまう。

ぼくの経験上、初心者は初ライブや初オーディションのとき、ふだんの練習の70%ぐらいの実力しか発揮できない。

「うまくいって、このぐらい」ってことだ。
緊張しすぎたり、頭が真っ白になったりすると、実力の60%も出せないことだってある。

初ライブっていうのはそういうもんだ

6、7割の演奏ができれば成功だ。
これを知っておくとずいぶん楽になる。うまくいく可能性もぐんと上がる。

なぜか? 理由をくわしく見ていこう。

実力の6、7割しか発揮できない前提で、練習できる

これが大きい。
100%の力を発揮できる前提でいると、あらい部分があっても、「まあいいか」「本番はなんとかなるでしょ」と考えがちだ。

「6、7割で成功」と考えていれば、本番までの時間を有意義に過ごせる。

危機感があるから練習に熱が入る。そして、

  • まちがえそうな部分をしつこく練習する
  • 他のメンバーとキメなどの連携を何度も確認する
  • ミスを回避するために、アレンジの一部を修正する

こうやって、いろいろな準備をすることができる。

初対面の人とスタジオに入るときや、オーディションに出場するときも同じだ。「実力の60~70%発揮できれば成功」と考えて、その日まで練習をする。

本番の演奏の最中にも、いい効果が生まれる

ミスをしても「まあ当然だよな」と冷静に受けとめられる。

「あっ、やっちゃった」って動揺すると、表情に出たり、演奏が一瞬止まったりする。

こういうことに観客はとても敏感だ。どんなミスをしたか具体的にはわからなくても、演者の動揺はビビッと感じとる。

プロのミュージシャンだって、本番中にミスをすることはある。編集をかけていない、素のライブ映像や音源を集中して聴けばわかる。(プリンスなど、ミスらしいミスをしないミュージシャンも一部いるけど)

しかしプロは、ミスをミスと認識させない。

なにも失敗していない素振り、そういう演奏をする前提だった素振りで、演奏をつづける。そうすると観客の大多数(自分では楽器を弾かない人たち)のことは、かなりの部分ごまかせてしまう。

ライブ中、なんとか回避したい悪魔のループ

ライブ中、もしくは演奏技術をチェックされているような状況で一番よくないのは、異化のような悪循環におちいってしまうことだ。

  • 最初の時点で心臓ばくばく→
  • いいところを見せようとしている→
  • 背伸びをする→
  • ミスをする→
  • ショックを受ける→
  • ミスを取り返そうとしてあせる→
  • ミスをする→
  • ショック→
  • 頭まっ白→
  • ミス→ショック→ミス→ショック→ミス……

……考えただけで寒気がするね。

最初の段階で「今日は実力の7割を発揮できたら大成功」と思えたらずいぶんちがうはずだ。

そして演奏中にミスをしたときだ。「これぐらいのミス、あるある。次、次」って気持を切りかえられれば、このループを避けられる。

きみの演奏を聴いている人たちがミュージシャンなら、ミスの直後に「当然のふり」をしても、ミスがあったことは見のがさないだろう。

でも彼らは「ミスはあって当たりまえ」ってことを知っている。そういう意味では、音楽をやっていない人たちよりも温かい目で見まもってくれる。

演奏中にミスをした。そのときにやるべきことまとめ

ぼくは実際にこうしていた。プロだったときに周囲にいたプロミュージシャンたちも、こうしている人が多かったと思う。

ライブで

  • 「失敗した」という気持を表情や態度に出さない。
  • 「そういうプレイだった」というような雰囲気を出す。
  • 決して演奏をとめない。当たりまえのように弾きつづける。
  • ライブが終わってからメンバーに謝る。(初心者なら打ち上げのときのネタにする)

スタジオで

(相手がレコード会社の人、プロミュージシャンなどの場合を含む)

  • 相手が大物なときほどリラックスを心がける。楽しんで演奏をする。
  • 「失敗した」という気持を表情や態度に出さない。
  • 「はい、失敗しました」という感じで淡々とプレイをつづける。
  • 無理に失敗を取り返そうとして、難易度の高いプレイを入れたりしない。
  • 演奏し終えてから「いやあ、緊張しちゃいました」とニコニコしながら言う。

こんなところじゃないかな。

ミスなんて、どうってことはない。
流れつづけている時間の、ほんの一瞬のことだ。

そのあといい瞬間がふたつかみっつ続けば、普通のお客さんはミスのことなんか忘れてくれる。

大切なのは「お客さんのために演奏すること」だ。そして
「こいつ、楽しんでるなあ」と思わせることだよ。